SIGMAKOKI シグマ光機株式会社

光学素子
ガイダンス
ガラス材料 Glass Materials

光学系に使われるガラス材料は大きく3種類に分かれます。プリズムやハーフミラーなど光を透過させる光学ガラス、ミラーに使われる基板ガラス、屈折率や波長分散が細分化されているレンズ用ガラスです。

光学ガラス材料

代表的な光学ガラス材料としてBK7と合成石英があります。
内部品質が高く、化学的に安定していて、比較的入手が簡単な材料です。

BK7

『ビーケーナナ』や『ビーケーセブン』の総称で呼ばれる光学ガラスで、古くからレンズやプリズムに使用されてきました。
メーカーによってBSC7やBSL7など型番が違いますが、組成比や光学特性、物理特性、化学特性ともほぼ同じなので、一般名称として『BK7』が使われています。
可視域の透過性が良く、泡や異物が少なく、光学系で問題になる脈理や屈折率の不均一がほとんど影響しないレベルまで低減されています。
レンズやプリズム以外に、ミラーやビームスプリッターの基板や各種蒸着フィルターの基板など、大部分の光学素子に使用されています。

エキシマレーザ用合成石英

ガラスに紫外光を照射すると蛍光を発することがあります。
また、長時間紫外光を当て続けると、ガラスの内部が茶褐色に着色する、ソーラリゼーションと言う現象が発生します。
合成石英は蛍光やソーラリゼーションが出にくいガラスですが、紫外線の波長が短くなると、これらの現象を生じることがあります。原因はガラスに含まれる不純物やガラス内部にできた分子レベルの欠陥によるもので、材料の純度を高めたり、製造方法を工夫することでこの発生原因を低減させることができます。
このような特殊な製造方法で生産された合成石英は、エキシマレーザのAr*F(193nm)やKr*F(248nm)で使用されています。(Ar*Fエキシマレーザで使用される場合は営業までお問合せください。)

合成石英

他の成分が含まれていない、純粋なSiO2だけで製造された光学ガラスです。
BK7より紫外域と赤外域の透過が高く、熱膨張が小さいことが特徴として上げられます。
屈折率はBK7よりも少し小さくなりますが、BK7と同程度の内部品質が得られ、BK7と同じように各種の光学素子に使われています。特に、可視域以外の波長を使う場合に良く選定されます。
また、熱膨張が小さいことを利用し、高面精度のミラーの基板や平面の原器などにも使用されます。

無水合成石英

合成石英は赤外の1.38µm、2.22µm、2.7µmの波長で特徴的な吸収があります。
SiO2の分子にくっ付いた水(OH基)の分子の吸収によるものです。
無水合成石英はSiO2に水が結合しないような特殊な環境で製造され、3.0µmの赤外まで高い透過率が得られます。
ただし、強制的に水を抜くために不純物を含まさせるので紫外域の透過率はあまり高くありません。

合成石英とBK7の屈折率、透過率比較表(参考データ) 板厚:10mm

※透過率には表裏面の反射による光量の損失が含まれています。

基板ガラス材料

通常ミラーには、BK7や合成石英のガラスを高精度に研磨した基板が使用されています。しかし、高い面精度を必要としない場合や厚さを薄くした基板を使用する場合には、板ガラスの材料として使われているパイレックス®や白板、青板と呼ばれるガラスが使用されます。
板ガラスの中には研磨していないにもかかわらず、高平面度が得られている板ガラスもあり、このような板ガラスに直接蒸着をして、ミラーとして使用することもあります。

硬質ガラス(パイレックス®

食器や耐熱容器など使用されるガラスの総称で、代表的な製品としてパイレックス®が上げられます。
化学的に非常に安定していて傷が付きにくいことから、ミラーなどのガラス基板として使われます。
パイレックス®はコーニング社の登録商標です。

波長〔nm〕 屈折率
350 1.480
400 1.478
500 1.474
600 1.472
密度〔g/cm3 2.23
熱膨張率〔×10−6/℃〕 3.25( 20〜300℃)
熱伝導度〔W・m−1K−1 1.1
透過域〔µm〕 0.38〜2.3
B270®-Superwhite

一般的に白板と呼ばれている板ガラスです。
光学特性がBK7に近いことから、BK7のガラス基板の代替品として使用されることがあります。ただし、内部品質の保証がないので、使用用途は限定されます。
B270®はSCHOTT AG社の登録商標です。

波長〔nm〕 屈折率
546 1.525
588 1.523
密度〔g/cm3 2.55
熱膨張率〔×10−6/℃〕 9.4( 20〜300℃)
熱伝導度〔W・m−1K−1 約1
透過域〔µm〕 0.35〜2.5
青板

『ソーダ石灰ガラス』や『青板』の名称で呼ばれる比較的安価な窓ガラス用のガラスです。
低温で熔解させるためにアルカリ成分を含ませているため着色があり、少し緑味がかった色をしています。特殊な場合以外は、あまり光学素子には用いられません。

レンズ用ガラス

カメラレンズや各種のレンズ機器に使用されるレンズには、屈折率と波長分散(アッベ数)が異なった種々のガラスが用いられています。
1種類のガラスだけでレンズ系を製作した場合、色収差が大きくなり、高性能な特性が得られません。
しかし、ガラスの種類をレンズごとに変えると、機能的で高性能なレンズ系を作ることができます。
レーザ光(単色光)の集光やコリメートなどの簡易的なレンズ系であれば、1種類のガラスで目的を達成できることから、このカタログでは一部のレンズ用ガラスしか紹介していません。
カタログではガラス材料を一般名称で表記していますが、RoHS該当になっている製品は鉛や有害物質を含まないエコガラスが使用されています。

波長〔nm〕 屈折率
SK2 SF15 LaSF9
334.1 1.643 - -
365.1 1.634 - -
404.7 1.626 1.742 1.898
488.0 1.615 1.715 1.869
546.1 1.610 1.704 1.857
587.6 1.607 1.699 1.850
632.8 1.605 1.694 1.845
706.5 1.602 1.689 1.838
852.1 1.598 1.681 1.830
1064.0 1.595 1.675 1.823
1529.6 1.589 1.666 1.814
1970.1 1.584 1.659 1.807
2325.4 1.579 1.653 1.801
アッベ数 νd 56.8 30.1 32.3
密度〔g/cm3 3.53 2.96 4.36
熱膨張率※〔×10−6/℃〕 6.5 7.5 7.7
熱伝導度
〔W・m−1K−1
0.802 1.049 0.874
透過域〔µm〕 0.36〜2.2 0.42〜2.4 0.46〜2.2

※−30℃〜70℃の場合

クラウン系ガラスとフリント系ガラス

アクロマーティックレンズは屈折率の波長分散の小さいガラスと波長分散の大きいガラスを組合わせることで、色収差を補正しています。
波長分散が小さい(アッベ数55以上)方のガラスをクラウン系ガラス、波長分散が大きい(アッベ数50以下)方のガラスをフリント系ガラスと呼びレンズ用ガラスは大きくこの2つに分けられています。
クラウン系ガラス、フリント系ガラスともに屈折率と波長分散の特徴で細かく分かれており、例えばクラウンガラスK、硼珪クラウンガラスBK、フリントガラスF、重フリントガラスSFなど○○クラウンや××フリントという名前が付けられています。
BK7は7番目に開発された硼珪クラウンガラスと言うことのようです。
現在では、略されたSCHOTT社の旧型番で呼ばれることが多く、複雑なガラスの名称で呼ばれることはあまりありません。

ちなみにクラウンとはガラスを熔かした時に粘性が高いので、ガラスの雫が落ちた時に液面が王冠(クラウン)状に広がったことから名づけられたようです。
もとは、ガラス職人さんの隠語から来ているようです。
フリントの方は原料に使った火打石(フリント)から来ているそうです。

ガラスフィルター

ガラスに金属イオンなどの吸収物質を含有させ、特定の波長域を吸収させるガラスです。
透過波長が異なると、ガラスの材質が異なるので、光学特性、化学的特性、機械的特性が大きく異なる場合もあります。透過波長特性が近いからと言って、屈折率などの特性が近いと考えることは危険です。ガラスフィルターの各特性については、営業にお問合せください。

低膨張ガラス材料

面精度が高いミラーを温度変化が激しい環境で使用すると、ミラーの面精度が歪むことがあります。
これは、ミラーのガラス基板に温度分布が生じ、温度の高い部分と低い部分で膨張量が変わるためです。このため、高精度を要求するミラーの基板には、低膨張材料が使用されています。
一般には石英ガラス(熱膨張率5.5×10−7/℃)が良く使われますが、さらに高精度を要求する場合には低膨張ガラスまたはゼロ膨張ガラスと呼ばれている材料が使用されます。

ゼロデュア®

低膨張のガラスに膨張率が負になる結晶を混ぜた結晶化ガラスで、0℃〜50℃の温度範囲で±1×10−7/℃の膨張率に抑えられています。
結晶による散乱でガラスの中は曇っているので、ガラスの中で光は減衰してしまいます。
比較的加工しやすく、研磨もしやすいことから、大型のミラーに良く使用されています。ゼロデュア®はSCHOTT AGの登録商標です。

波長〔nm〕 屈折率
486.1 1.5491
587.6 1.5424
656.3 1.5394
透過波長域 0.4〜2.5µm
表面反射 4.6%(587.6nm)
密度 2.53g/cm3

CLEARCERAM®-Z

ガラスの中に負膨張の微小な結晶を析出させたゼロ膨張の結晶化ガラスです。
0℃〜50℃の温度範囲で±1×10−7/℃の膨張率に抑えられています。
ガラス内部は透明なので、光を通すことができます。熱的性質、機械的性質、化学的性質に優れ、レーザミラーや原器ブロックゲージに使用されています。
CLEARCERAM®は株式会社オハラの登録商標です。

屈折率 1.546(587.6nm)
透過波長域 0.4〜2.5µm
表面反射 4.6%(587.6nm)
密度 2.55g/cm3