SIGMAKOKI シグマ光機株式会社

光学素子
ガイダンス
基本用語の解説
面精度

研磨された面が理想的な平面からどれだけズレているかを表す値。波面を測定する干渉計で測定されるため、反射波面精度とも呼ばれる。面精度は干渉縞の本数を使った単位〔λ〕で表されている。λは干渉計で使われるHe-Neレーザの波長の632.8nmを示している。
また、面精度の表記にはPVとRMSの2つがある。
PVはPeak to Valley(最大値から最小値の差)、RMSはRoot Mean Square(最小二乗平均)で、経験的にはRMS値はPV値の約1/5の大きさになる。平面のような単純な形状の場合はPVが用いられることが多いため、このカタログの面精度にはPV値が使用されている。例えば面精度PV λ/2は理想的な平面から最大316.5nmズレいることを示している。


スクラッチ−ディグ

研磨やコーティングした面に付いたキズの規格で、スクラッチが線キズ、ディグがクボミキズを示す。
シグマ光機ではMIL-PRF-13830Bの規格に準拠した社内基準で検査している。
特別な取り決めがない限り、目視による限度見本との比較検査で判定される。

レーザ耐力

高エネルギーのパルスレーザを光学素子に照射したとき、光学素子のコーティングやガラス材料に損傷が起きることがある。光学素子に、損傷が発生し始めるレーザ光のエネルギー密度〔J/cm2〕をレーザ耐力と呼ぶ。
シグマ光機のレーザ耐力は国際的基準であるISO21254に規定されているS-on-1テストを使用している。光学素子のレーザ耐力と使用するレーザのエネルギー密度※4を比較することで、レーザに耐えられる光学素子が選定できる。ただし、100mJ/cm2以下パルスレーザ(パルス幅 10ns)や0.5W以下のCWレーザではレーザ耐力はあまり問題にされない。

※4 エネルギー密度〔J/cm2〕=レーザのエネルギー〔J〕/(π×ビーム半径〔cm〕2

P偏光、S偏光

光がガラス面に斜めから入射した時、入射光の偏光方向によって反射率が変わる。ガラス面の法線と入射ビームを含む面内で振動する光波をP偏光、このP偏光に直交して振動する光波をS偏光と呼ぶ。これ以外の偏光状態はP偏光とS偏光の配分比を変えて合成したものとして考えることができる。
P偏光とS偏光の反射率は入射角度とガラスの屈折率によって決められるが、それぞれ、異なる法則にしたがっているため、P偏光とS偏光の反射率に違いが生じる。

ビーム偏角

レーザビームの光路中に光学素子を挿入した時に、ビームが傾斜することがある。
この元のビームから傾斜した角度をビーム偏角と呼ぶ。ビーム偏角は光学素子の平行度と屈折率で決まり、BK7では平行度1分はビーム偏角の約0.5分に相当する。 

偏心

レンズの外径を基準にしてレンズを回転させた時に、理想的なレンズは、レンズを回転させても透過ビームまたは集光ビームが動くことはないが、理想的なレンズの光軸に対し、レンズの外径の中心軸のズレが生じている場合は、ビームが円を描くように動く。このときの回転軸に対し透過ビームが振れている角度を偏心と呼ぶ。 


反射率・透過率波長特性データ

カタログに載っているほとんどの光学素子には、反射率または透過率波長特性のグラフが掲載されている。
この反射率・透過率波長特性のグラフは分光光度計を用いて測定されている。※5
カタログには設計上で保証されている範囲に留まらず、広範囲の波長領域まで掲載されているが、保証範囲外の領域の数値は、再現性が悪く個体差も大きいので、その値を信頼することは危険である。
ビームスプリッターなどでは、透過率のグラフのみで反射率のグラフが掲載されていない。しかし、誘電体多層膜の場合は吸収がないので、グラフの縦軸を反転させることで反射率を容易に推測することが可能である。※6
また、測定データには入射角度と偏光方向が規定されている。
反射タイプの45度入射の光学素子では、P偏光とS偏光のグラフを記載している。これは、誘電体多層膜では偏光の方向によって反射率特性が大きく変化するためである。しかし、紙面の事情でP偏光とS偏光のグラフを記載できない場合は、S偏光とP偏光の平均値を掲載している。

※5 一部の光学素子には薄膜設計のシミュレーションデータが使われている。
※6 クロムコートの場合は吸収があるため、1−透過率=反射率とはならない。