SIGMAKOKI シグマ光機株式会社

光学素子
ガイダンス
波長板アプリケーションノート Application Note

波長板は、光量を変化させることなく偏光状態を変化させることができます。
ここでは具体的な波長板の使用例を紹介します。

1/2波長板(λ/2板)
レーザを動かさずに偏光方向を変える

1/2波長板は直線偏光の偏光方位を変えることができます。
波長板の光学軸(fast軸またはslow軸)が入射光の偏光方位と一致している場合は、出射光の偏光方位は変わらず、そのままの偏光方位で出射します。
波長板の光学軸を入射光の偏光方位からθ傾けた場合は、出射光の偏光方位は入射偏光方位に対し2θ傾いて出射します。
この効果を使って、1/2波長板を回転させることで、自由に直線偏光の偏光方位を変えることができます。
この方法のメリットは、偏光方位を回転させても光量が変化しないことです。
波長板で偏光方位を90度に回転させたとき、直線偏光の消光比は波長板の位相差誤差によって少し悪くなります。このため高い消光比を要求する精密な偏光計測では、波長板の後に偏光子を通す必要があります。
平行度が高い水晶タイプの波長板を使用すれば、ほとんどビーム変位を発生させずに偏光方位を可変することができます。


光量を可変させる

1/2波長板と偏光ビームスプリッター(PBS)を組合せることで、光量を可変させることができます。
透過光量だけではなく、反射光量の調整や、透過と反射の光量比調整に使用することができます。
この方法は非常に効率が高く、減衰させた透過光量は全て反射光量として使うことができます。
光量調整の範囲が広いことも特徴のひとつです。(97%〜0.3%ただしPBSの性能に依存する)


特殊な光学系の例

PBSで分けられたP・S偏光を同じ偏光方向にそろえる場合に1/2波長板を使います。
下の例は2光束干渉計でグレーティングを露光する光学系です。
偏光方向をそろえることでコントラストの良い干渉縞が得られます。


1/4波長板(λ/4板)

直線偏光を円偏光に変換する場合に使われますが、この他にも偏光計測で良く使われます。

戻り光対策法に使う

レーザを使った実験で、ミラーや光学素子の反射光(戻り光)がレーザに戻るとレーザの発振が不安定になることがあります。
この戻り光を防止するのに光アイソレータが用いられます。
代表的な光アイソレータは偏光フィルターと1/4波長板で構成されています。
光がミラーで往復する間に1/4波長板を2回通ります。
円偏光の光はミラーに反射しても回転方向は変わらない性質があることから1/4波長板の位相差の2往復分が加算され、合計180度の位相差を得ることになります。
この位相差によって、ミラーに反射して1/4波長板を通り抜けた光の偏光方位は、入射偏光方位に対し90度回転させられます。
これによって反射光は偏光フィルターを通り抜けられず、レーザに戻らないようにすることができます。


偏光計測(セナルモン法)に使う

1/4波長板の特徴は入射した直線偏光を円偏光だけでなく、直線偏光や色々な楕円率の楕円偏光に変換することができることです。
これとは逆に、楕円方向を正確に波長板の光学軸に合わせて1/4波長板に入射させると、どんな楕円偏光状態でも直線偏光に変換できます。
この時、直線偏光の方位γは入射する楕円偏光の楕円率によって異なり、楕円偏光の位相差Δの半分に相当します。
この原理を使った偏光測定法をセナルモン法と言います。
セナルモン法は微小な応力(複屈折)を測定する時に良く使われます。


特殊な光学系の例

PBSと1/4波長板を使ったマイケルソン干渉計を紹介します。
偏光を使うことで光源側に戻る不必要な分岐を抑え、安定性の高い干渉縞が得られます。
入射光はロスなく観察側に集りますが、偏光を観察するときは偏光板を必要とし、この偏光板で50%のロスが発生します。