SIGMAKOKI シグマ光機株式会社


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ちょっとためになる光学勉強会
016|レーザ安全 1回目 レーザ機器管理者

国家試験にはいろいろなものがあります。
アマチュア無線技士 4級、栄養士、自動車運転免許も国家資格だそうです。
しかし、「レーザ安全」に関連する国家資格はありません。

国家資格がないと言うことは、レーザを使う人ならば誰にでも資格があると言うことです。
しかし、この資格は履歴書に書けないので、あまりメリットが無いかもしれません。*

我々は原始の時代から強力な太陽の光を浴びてきたので、強い光に対してもある程度の耐性があります。
その後、科学が発展し、夜を照らす人工光が作られますが、それらはどれも太陽の光ほど強いものではありませんでした。

しかし、1960年にレーザが初めて発振してから、少し状況が変わりました。
レーザ光はただ明るいだけではなく、他の光にはない特殊な性質を持っています。
太陽の光には適応できる人間の目ですが、レーザ光にはまだ順応できていないようです。
このため、強いレーザ光線から身を守るための安全対策が必要になります。

一番、身近にあるレーザと言えば、レーザポインターが思い浮かびます。
国内で流通しているレーザポインターには必ずPSCマークが貼られています。
法律でPSCマークが貼られていないレーザポインターは売ってはいけないことになっています。
PSCマークが貼られているレーザポインターの光が、万が一、眼に入ったとしても、失明などのような障害が残る大事故にならないようになっています。

一般向けに販売される製品(レーザポインターやレーザプロジェクタ、レーザ脱毛器、etc.)では、一般の消費者を保護するための様々な法律によって、安全が確保されています。
しかし、これから説明する「レーザ安全対策」はこれらとは別で、レーザを使う人が自分で自分の身を守るための対処法です。

そもそもこのようなレーザは一般向けの製品ではなく、非常に特殊な目的を持つ人が購入されるものになります。
例えば、大学の理工系の研究室や企業の研究開発部門などです。
このようなレーザは光を使った実験装置にしか使用されないので、光やレーザの知識のない一般の人がこのようなレーザを購入することはほとんどありません。




このことから、レーザを使うのは、レーザ光の特徴を何かに利用しようとしている技術者か研究者に限定できます。
このため、この人たちはレーザの危険性を認識できる素養が備わっていると言う大前提で、レーザ安全対策は考えられています。

「レーザは利用するけど、レーザの特徴などを理解する気が無い。」という人には、一般人向けに製品化されている完璧な安全対策が施された装置を、値段が高くても買ってもらわなければなりません。(恐らく、どこのメーカーもそんな装置を作らないと思います。)

ただし、例外はあります。レーザを使った装置で、研究者ではない一般の作業員にマニュアル作業を行わせている場合です。
この場合、レーザのことを全く知らない人が、その作業に従事しているケースが出てきます。
こんな場合でも、1人だけレーザの危険を認識している人がいれば、その人が作業者に危険性を伝え、安全に作業できるように環境を整えることで、一般の作業者の安全が確保できます。

このように、レーザを購入して利用しようとする人やレーザの作業を管理している人のことを「レーザ機器管理者」と呼びます。
(まだ任命をうけていない段階であれば、レーザ機器管理者の候補者としたいった方が正しいかもしれません。)

このレーザ機器管理者が今回のレーザ安全の対象者になります。
このレーザ機器管理者が誰がふさわしいかを簡単にチェックする方法があります。
「レーザ機器管理者」と聞いて誰の名前も浮かばなければ、あなた自身が「レーザ機器管理者」です。

「レーザ機器管理者」の選任を受けているかどうかは置いておいて、安全対策は自分事として受け止めることから始まります。

最初に説明したように、レーザ機器管理者には国家試験がないので、誰にでもその資格はあります。
それでは、誰もレーザ機器管理者がいなくても大丈夫かと言うと、そうではありません。
遠回しな法律の適応によって、レーザ安全対策を行っていない事業所は6ヵ月以下の懲役か50万円以下の罰金を受ける可能性があります。

事業主でなければ、あなたに懲役や罰金が科せられることはありませんが、処罰を受けたくない事業主は、あなたに責任を負わせようとするのが世の中の常です。
悪あがきはほどほどにして、無理のない範囲で責任を果たすのが最良の方法と考えます。

以上。


*業界団体が推奨しているレーザ機器取扱技術者という制度もあります。