SIGMAKOKI シグマ光機株式会社


コミュニティ
ちょっとためになる光学勉強会
009|シリンドリカルレンズ

これもレンズ!?
四角い形状に、かまぼこのような形。
未完成のレンズ?それとも失敗作?

いいえ!れっきとしたシグマ光機の製品です。
円筒の一部を切り出した形なので、円筒面レンズ
英語読みにして、シリンドリカルレンズとも言います。

こんな中途半端なレンズ、光を一点に集められないし、像も結ばないし、何のためにシリンドリカルレンズってあるの?
最も多いのは、レーザビームを「シート光」と言われる状態に変換する光学系で使われています。
シリンドリカルレンズに細いレーザビームを入射させると、シリンドリカルレンズの母線方向(曲率がない方向)は元のレーザビームの太さなのに対し、母線に垂直方向(曲率がある方向)では、ビームは拡散します。
よって、シリンドリカルレンズからは平べったいレーザビームが出射されます。

シート状に広がったレーザ面をカメラで観察すると、シートを横切るものがキラリと光るので、その位置や物体の大きさ、その速さ、などを調べることができます。
PIV(粒子画像流速測定法)が、その代表的なものです。
また、シート光が壁などにあたると、真直ぐな線が描かれます。
これを水準器と組み合わせると、精度の良い水平線を壁に投影できます。
「レーザ墨出し器」などと言われ、建築現場で活躍しています。

レーザ以外でシリンドリカルレンズを使用することはあるのでしょうか?
・・・・・。
眼鏡の乱視矯正用で、焦点距離の長いシリンドリカルレンズが使用されてはいますが、シリンドリカルレンズを使った市販の結像系は見たことがありません。

筆者は過去に、シュリーレン(気体や液体の流れを観察する光学系)で、円筒状のセルに入った液体を観察するのに、シリンドリカルレンズを使った観察系を組んだことがあります。
液体セルによる屈折によって、縦の像と横の像がバラバラになった光をシリンドリカルレンズで、縦の像と横の像が同じ位置に合わせ、2次元画像のように観察できるようにしました。

この時、画像の縦横の倍率と縦横のピント位置がバラバラに変化するので、大変苦労した記憶があります。

この教訓からシリンドリカルレンズは、結像光学系で使用する場合は、だれも相談にはのってくれないことを覚悟してください。